その2では自転車がパンクし、近くに自転車屋がなく、15km先の呉市内まで歩くことになった
その1,2をまだ見ていない方はこちらからどうぞ
歩いて帰ろう
もう歩いて帰るしかないことになると、頭の中から江田島を楽しむという考えは全くなくなっていた
とにかく生きて帰ることだけを考えてしまっていた
一応、ipodを持って行っていたのだが、せっかくサイクリングするのだから音楽を聴くのはやめようと決めていた
しかし、この状況は辛い
ということで脳内ジュークボックスが働いていた
曲もあまりに暗い曲だとメンタルが完全にやられそう(やられる=殺られる) だったことと今の状態をなんとか乗り切りたいという思いから、斉藤和義の”歩いて帰ろう”を鬼リピート
頭の中では音楽再生し、目はできるだけ街並みを見て現実逃避
そんな方法をやりながら約1時間
約5kmほど進んだところで、後ろから声が聞こえた
救世主!現る?
はっと後ろを振り返ると、ロードレースに出るようなガチの格好したおじさんが声をかけてくれたらしい
パンクしたん?
そうなんですよ。もうかれこれ1時間以上歩いていて・・・
そうなんか!ちょっと見してみ。もしかしたら直せるかもしれんから
ほ、ほんとですか?ありがとうございます!
なんということだ!ここで直すことができれば生きて帰れることは保証される!
というかわざわざ止まってくれて、一緒にチャリンコを調べてくれるなんて、めちゃくちゃ親切!
話を聞くと、このおじさんも昔はよくパンクして助けてもらっていたらしい
本当に旅って普段交流がない人とかと話したり、助けあったりするところがとても魅力的だと感じたね
しかし、僕のチャリンコは後輪が外れないような仕様になっているため、パンクした穴を見つけることが困難らしい
空気を入れて音を聞いてみるも難しい
ということでパンク自体を修理することはできないということがわかった
チャリなんてどれも同じでしょ!と思い、ドロップハンドルだがめちゃくちゃ安いチャリンコを買ってしまったせいでこんなことに・・・
そんなとき、おじさんがパンクしたことについて聞いてきた
空気の抜け方はどんな感じ?すぐ抜けるとか、徐々に抜けるとか
一度、空気を入れ直してから橋を渡ることはできたので、徐々に抜けてるんだと思います
それなら、おじさんがパンパンに空気を入れてやるからそれで行けるところまで行ってみて!もしかしたら5kmくらい走れるかもしれん
こう言っておじさんはチャリンコの空気を破裂するんでは?ってくらい入れてくれた
できるだけのことをしてくれたのである
またおじさんはよく江田島でサイクリングをするらしく、 このまま道を進むと急な坂道になるから、手前で左に入って旧道を抜けたほうがいいという情報までくれた
こんなアドバイスまでくれるなんて・・・
本当に感謝しかない
そして何度もお礼を言い別れを告げた
日常生活でここまで感謝の気持ちを心から言えることはなかなかないだろう
それくらい人の暖かさを感じれた出来事だった
再びサイクリング開始!のはずが・・・
とにかく空気があるうちに走っておかなければいけないと感じ、激チャする
おじさんは5kmくらいは保つかもとは言っていたが、できるだけこの距離を伸ばしておきたい
そうして走っていると目の前には大きな坂道が現れた
そしておじさんの言った通り、左には抜け道らしきものがある
知らなけれがただ苦労しながら登っていただろう
再びおじさんへ感謝しながら、旧道を走った。その時・・・
ガタガタガタガタと
後輪をみると、再び空気が抜けていた
なんと5kmどころか1km程度しか保たなかったのである
やはりサイクリングはここまでか・・・
しかし1kmと短い距離だったが、歩くよりも何倍かは早かった
ということで、空気を入れて行けるところまで自転車に乗るという方法をなんども繰り返すことで呉までなんとかたどり着こうと考えた
空気を入れるのも結構、力がいるし、自転車に乗れる時間も限られているため激チャしなければいけない
この方法を3回ほど繰り返したところで体力が無くなっていくのを感じとった
その4に続く